訪問マッサージ

言葉が出なくても、気持ちがないわけじゃない。難病などで話すことが難しい方との向き合い方

言葉で返事ができないことと、話を理解できないことは、同じではありません。このコラムでは、声が出にくいことと言葉の理解の難しさを分けて考える視点と、普段の意思表示の方法を共有し、急がずに確かめながら施術を行う考え方を紹介します。

お体の変化や施術について気になることは、主治医や医療・介護の担当者へご相談ください。

呼びかけても、返事がない。

話しかけても、表情があまり変わらない。

ご家族は「聞こえているのかな」「私の言葉は伝わっているのかな」と、不安になることがあると思います。

以前はよく話していた方なら、その変化を受け入れるのは簡単ではないでしょう。

でも、ここで忘れたくないことがあります。

言葉で返事ができないことと、相手の話を理解できないことは、同じではありません。

病気によって声を出す筋肉が弱くなったり、言葉を作る働きに障害が生じたり、疲労が強くて反応しづらくなったりすることがあります。

同じように見える状態でも、その背景は一人ひとり違うのです。

返事の仕方は、声だけではありません

例えば、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という神経難病があります。

身体を動かす神経が障害され、病気の進行によって話すことが難しくなる場合があります。

一方、脳梗塞や脳出血の後遺症による失語症では、言葉を話すことだけでなく、理解することにも難しさが生じる場合があります。

声が出ないことと、言葉を理解できないことは、分けて考える必要があるのです。

視線を向ける。まばたきをする。首をほんの少し動かす。

そんな小さな反応が、気持ちを伝える手がかりになる方もいます。文字盤や、意思を伝えるための機器を使う方もいます。

ただし、その動きが何を意味するのかを周囲が決めつけてはいけません。

普段どのような方法で意思を確認しているのか、ご本人やご家族、医療スタッフと共有することが大切です。

身体に触れるからこそ、気づけることがある

訪問マッサージでは、施術の前に身体の状態を確かめます。

「今日は肩を触っても大丈夫ですか」

「腕を少し動かしますね」

言葉で返事をすることが難しい方には、普段の意思表示の方法を用いながら、反応を丁寧に確認します。

触れたときに表情が変わる。身体に力が入る。呼吸の様子がいつもと違う。

そうした変化は、痛みや不快感などを考える手がかりになります。

ただし、表情や身体の反応だけで、気持ちが分かるとは限りません。

意思の確認が難しいときほど、急がず、慎重に関わる必要があります。

動かせない身体にも、毎日の負担があります

神経難病などによって筋麻痺が進むと、自分で寝返りを打ったり、手足の位置を変えたりすることが難しくなる場合があります。

同じ姿勢が長く続くことで、身体の一部分に負担がかかることもあります。

また、関節拘縮があると、着替えや清拭、身体の向きを変える介助が難しくなることがあります。

訪問マッサージは、筋肉のまひや関節のこわばり(拘縮)などがあり、医療上マッサージが必要と主治医が認めた方が、医師の同意のもとで医療保険を使って受けられます。難病や、脳梗塞・脳出血の後遺症などがある場合も含め、対象になるかは、病名だけでは決まりません。

施術では、医師の同意の内容に沿って、筋肉の緊張や関節の動かしづらさに配慮しながら、マッサージや関節への働きかけを行います。

施術のときは、その日の体調や過ごしている姿勢、着替えなどの介助で困っていることも伺いながら進めます。

病気の治療は主治医が行います。

今の身体の状態に合わせて、少しでも負担の少ない時間をつくることには意味があると思っています。

「少し待つ」ことも、施術の大切な時間

介護や施術の現場では、つい先回りして話してしまうことがあります。

「右を向きますね。次は腕を動かします。痛かったら教えてください」

一度にたくさん伝えると、返事をするのに時間が必要な方には負担になるかもしれません。

「今から右を向きますね」

そう一つ伝えて、反応を待つ。

その方が使いやすい方法で意思を確かめてから、次へ進む。

急いで施術を終えることよりも、落ち着いて受けていただけることを大切にしたいのです。

言葉が少なくなっても、その方の人生は変わらない

仕事をしてきたこと。家族を支えてきたこと。好きな音楽や、楽しみにしてきた時間。

話すことが難しくなったからといって、その方が積み重ねてきた人生の価値まで変わるわけではありません。

私は、身体に触れる仕事だからこそ、そのことを忘れたくないと思っています。

「今日は少し寒いですね」

「これから肩の施術をしますね」

そんな何気ない言葉をかけながら、一人の人として丁寧に向き合う。

板橋区や練馬区で難病とともに暮らす方にも、穏やかに過ごせる時間が少しでも増えてほしい。

株式会社アポロの訪問マッサージでは、ご本人の意思とお体への配慮を大切にしながら、筋麻痺や関節拘縮などのある方への訪問マッサージに取り組んでいます。

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医療保険を使う訪問マッサージには、医師の同意が必要です。ご本人の状態や訪問先を伺ってご案内します。

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