エピテーゼ

乳房を残す手術の後、左右の形が違うと感じたら。乳房温存手術後の補整と相談

乳房温存手術(乳房部分切除術)の後も、切除した範囲や放射線治療によって、胸のへこみや左右の大きさの違いが気になることがあります。全摘していなくても補整を考えてよく、皮膚の状態を主治医に確かめながら、パッドや乳房エピテーゼなど、ご本人に合う方法を探せます。

このコラムのまとめ

  • 乳房を残す手術でも、切除の範囲や場所、手術の後の放射線治療によって、形が変わる場合があります。
  • 左右の違いが気になる場面を整理し、必要な部分を無理なく補う方法を考えます。
  • 傷あとが落ち着く前や皮膚が敏感な時期は、使い始める時期と注意点を主治医や看護師に確認します。

使い始める時期や合う製品は、手術の後の回復や皮膚の状態によって変わります。必要に応じて、主治医へのご確認をお願いしています。

乳房を残す手術なら、以前と同じ形でいられますか?

乳がんの手術には、乳房全体を切除する方法と、がんのある部分を中心に切除して乳房を残す方法があります。後者は「乳房部分切除術」または「乳房温存手術」と呼ばれています。

「乳房を残せるなら、手術の後も以前と同じ形でいられるのではないか」。そう思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、乳房を残す手術であっても、手術前とまったく同じ形になるとは限りません。

乳房温存手術の後、どのように形が変わることがありますか?

乳房部分切除術では、がんのある部分と、その周りの組織を取り除きます。切除する範囲や場所によっては、乳房の一部がへこんだり、左右の大きさに差が生じたりする場合があります。

国立がん研究センター東病院も、乳房部分切除術では、切除範囲が大きいほど乳房の変形が大きくなると説明しています。また、手術の後には通常、残した乳房に放射線治療を行います。がん情報サービスによると、照射の後に乳房が腫れてやや硬くなったり、数か月後に少し縮んで小さくなったりすることがあります。

手術を受ける前は、病気を取り除くことが第一で、手術の後の見た目まで細かく想像できないかもしれません。そして、実際に傷が落ち着いてから、洋服を着たときに左右の違いが気になることがあります。

「乳房を残したのだから、気にしてはいけない」と思う必要はありません。胸の形が変わったことを残念に感じるのも、自然な気持ちです。

全摘していなくても、補整を考えてよいですか?

乳房の補整というと、乳房全体を切除した方のためのものだと思われがちです。しかし、部分切除の後の左右差が気になる方にも、補整を考える余地があります。がん情報サービスでも、乳房部分切除術や乳房の再建をしても形が気になる場合に、パッドなどを入れて調整する方法や、乳房手術後専用の補整下着が紹介されています。

例えば、片側のボリュームが少なくなった部分を、下着の中に入れるパッドなどで補う方法です。大切なのは、乳房全体を大きくすることではなく、必要な部分を無理なく補うことです。

左右の乳房は、手術前から完全に同じ形ではありません。ですから、見た目を一ミリ単位で一致させることより、ご本人が心地よく過ごせるかを考えることが大切です。

乳房エピテーゼ(肌に貼り付けて使う人工乳房)にもさまざまな形がありますが、部分切除の後に使えるかどうかは、手術の後の形や製品の作りによって異なります。用意されたサイズのパッドで補える場合もあれば、より個別に合わせる方法を考える場合もあります。

どんな場面で、左右の違いが気になりますか?

術後の左右差が気になるときは、日常生活のどんな場面で困っているのかを整理してみましょう。

例えば、薄手の洋服を着たときだけ胸元の形が気になる方もいれば、普段の下着が片側だけ浮いてしまう方もいます。仕事の制服、スポーツウェア、外出用の洋服など、着るものによっても気になる部分は変わります。

反対に、普段は補整をしたいと思わない方もいるでしょう。「気になるときだけ使う」という考え方もできます。補整をすることが義務になってしまっては、かえって疲れてしまいます。自分に必要なとき、自分に合う方法を選ぶ。それでよいのです。

傷あとや皮膚について、何に気をつければよいですか?

乳房温存手術の後の補整では、皮膚の状態にも気を配る必要があります。手術の傷あとがまだ落ち着いていないときや、放射線治療で照射したところの皮膚が赤くなったり、かゆくなったりしているときは、摩擦や圧迫が負担になる場合があります。

新しいパッドや補整具を試したいときは、まず治療を担当する医療者に、使い始める時期や注意点を確認しましょう。「見た目が合う」ということと、「身体に無理なく使える」ということは、必ずしも同じではありません。

痛みや赤み、かぶれなどが出たときは使うのをやめ、必要に応じて医療機関に相談してください。

乳房再建と補整は、どのように選べばよいですか?

乳房の形が気になる場合、医療機関で乳房の修正や再建について相談できることもあります。どの方法が合うかは、がんの状態、これまでの治療、身体の状況によって異なります。

一方で、もう手術を受けたくないという方もいるでしょう。その場合には、補整下着やパッド、乳房エピテーゼといった、手術を伴わない方法を検討することもできます。

乳房再建手術とエピテーゼには、それぞれ特徴があり、どちらか一方が優れているということではありません。どちらが合うかは、主治医にご相談ください。治療のことを大切にしながら、ご本人の希望に合う方法を探していきましょう。

手術から年月がたっていても、相談してよいですか?

手術の直後には気にならなかった形の違いが、年齢や体重の変化によって目立つようになる場合もあります。以前使っていた補整下着が合わなくなることもあるでしょう。

手術から10年、20年とたっていても、今の身体に合う方法を探すのに遅すぎるということはありません。乳がんの治療が終わった後にも、暮らしの中で新しい悩みが出てくることがあります。そうした気持ちを、遠慮せず相談できる場があることが大切です。

よくあるご質問

乳房部分切除術の後でも、乳房エピテーゼは使えますか?

使える場合があります。部分用のパッドや補整下着なども含めて、身体の状態や製品との合い方を確かめる必要があります。合う方法は、ご相談のなかで個別に確認します。

放射線治療を受けている間も、補整できますか?

皮膚への刺激や圧迫を避ける必要がある場合があります。使う製品や時期は、主治医や看護師に相談してください。

左右の乳房を、完全に同じ形にできますか?

方法によって、合わせられる範囲は異なります。完全に同じ形をめざすより、服を着たときの自然な見た目や着け心地を含めて考えることが大切です。

アポロからのメッセージ

看護師の鵜澤美保が、乳房エピテーゼのご相談と製作に携わっています。認定NPO法人 乳房健康研究会のピンクリボンアドバイザー上級の認定を受け、乳がんに関する知識を学んでいます。

乳房全切除術の後の方だけでなく、部分切除の後の胸の形についてのお悩みも、状況を伺いながらご相談をお受けしています。服を着たときに胸のふくらみを補うシリコーン製のパッド(S・M・L・LL)もご案内していますが、部分切除の後の胸に合うかどうかは、身体の状態とご希望を伺い、ご相談のなかで確かめます。

製品ごとのご案内とご相談から製作・お渡しまでの流れをご覧ください。

参考にした情報

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