エピテーゼ

乳がんの治療が終わっても、検査の日が怖いときに。再発への不安との付き合い方

乳がんの治療が一区切りした後も、定期検査が近づくと再発への不安が強くなることがあります。不安を感じるのは自然なことで、気になる症状は主治医に、気持ちのつらさはがん相談支援センターなどに相談できます。

このコラムのまとめ

  • 不安や落ち込みは、治療中だけでなく、治療が終わった後にも生じることがあります。
  • 経過観察の内容と頻度は、病状や受けた治療に応じて主治医が判断します。
  • 生活に影響するほどの不安は医療者やがん相談支援センターに、外見の悩みは乳房エピテーゼや医療アートメイクのご相談の窓口に、分けて相談できます。

新しく出てきた症状が続くときや、次第に強くなるときは、自己判断をせずに主治医にご相談ください。診察や検査の頻度は、病状や受けた治療によって主治医が判断します。

元気に見えても、不安が残ることはありますか?

乳がんの治療が一区切りつき、少しずつ日常生活に戻っていく。仕事や家事を再開したり、友人と出かけたり、以前のような時間が増えてきたり。周囲から見ると、元気になったように感じられるかもしれません。

それでも、心の中には消えない不安が残ることがあります。「また乳がんになったらどうしよう」。とくに定期検査が近づくと、普段は意識しないようにしていた不安が大きくなる方もいるでしょう。

検査の日が怖いのは、おかしなことですか?

乳がんの治療後には、定期的な診察や検査を受けながら経過を見ていきます。検査結果を待つ間は、落ち着かない気持ちになることがあります。

ほんの少し身体に痛みがあるだけで、再発ではないかと心配になったり、インターネットで何度も症状を調べてしまったり。そんな経験をする方もいるでしょう。

国立がん研究センター がん情報サービスでも、治療が始まる前、治療中、治療が終わった後など、時期を問わず不安を感じたり、落ち込んだりすることがあると説明しています。不安があるからといって、気持ちが弱いわけではありません。それだけ大きな経験をしたということでもあります。

乳がんの治療後の定期検査は、どのくらい続きますか?

乳がんの治療後は、病気の状態や受けた治療によって、経過観察の内容が異なります。

がん情報サービスでは、問診や視触診の目安として、初期治療が終わってからの3年間は3〜6か月ごと、その後5年までは6〜12か月ごと、それ以降は年1回の頻度が勧められていると紹介しています。また、乳房部分切除術を受けた方は、手術した乳房や反対側の乳房に、年1回程度マンモグラフィを受けることが勧められています。

ただし、すべての方が同じ頻度で検査を受けるわけではありません。再発のリスク、治療の内容、身体の状態などに応じて、主治医が必要な診察や検査を判断します。

「検査を増やせば、不安がなくなる」というものでもありません。必要な検査を適切な時期に受け、気になる症状があれば相談することが大切です。

身体の小さな変化が気になるときは、どうすればよいですか?

治療後には、手術した部分の違和感、疲れやすさ、関節の不調など、さまざまな身体の変化を感じることがあります。そうした症状が、すべて再発を意味するわけではありません。

しかし、新しく出てきた症状が続く場合や、次第に強くなる場合には、自己判断をせずに主治医へ相談しましょう。

不安を感じるたびに検索を繰り返すと、かえって心配が大きくなる場合もあります。情報を調べるときには、国立がん研究センターや医療機関など、信頼できる情報源を活用したいものです。

治療が終わった後も、相談してよいのでしょうか?

治療中は、医療者と接する機会が多くあります。ところが、通院の間隔が長くなると、身体や気持ちの悩みを話す機会が減ることがあります。「こんなことで病院に連絡してもいいのかな」。そう思う方もいるかもしれません。

でも、乳がんを経験した方の暮らしは、治療が終わった後も続きます。不安が強く、眠れない日が続く。何をしていても再発のことが頭から離れない。以前楽しめていたことを楽しめない。そのような状態が続き、生活に影響しているときには、心のケアについても相談してみてください。

がん相談支援センターでは、治療のことに限らず、どんなことでも相談できます。看護師、ソーシャルワーカー、心理士などが相談員として対応し、ご本人やご家族はもちろん、その病院に通っていない方も無料で利用できます。がん情報サービスでも、不安や悩みへの対処として、医療者への相談とともに、患者会やピアサポート、がん相談支援センターの利用が紹介されています。

治療の後に残る外見の悩みも、相談できますか?

乳がんの治療が終わっても、手術によって変化した乳房の形や傷あとは残る場合があります。乳房再建を受けた方の中にも、左右差や乳輪・乳頭の見た目について気になる方がいるでしょう。再建を希望しない方には、補整下着や乳房エピテーゼという選択肢もあります。

乳房エピテーゼ(肌に貼り付けて使う人工乳房)は、体の外側に着けて、胸の見た目を補う製品です。乳輪・乳頭の部分だけを再現したニップルエピテーゼもあります。

眉毛の変化に悩む方は、メイクやウィッグのほか、医療者と相談しながら医療アートメイクを検討することもあるかもしれません。医療アートメイクは医療行為です。施術は、医療機関で、医師の診察と指示のもと、看護師が行います。施術を受けられるかどうかや方法は、医療機関の医師が診察で判断します。治療中の方・これから治療が始まる方は、主治医にもご相談ください。費用は、医療アートメイクのページの「受ける前に確かめていただきたいこと」でご案内しています。

外見を補う方法と、再発への不安に対する心のケアは、分けて考えるものです。気持ちのつらさは医療者やがん相談支援センターに、外見の希望は乳房エピテーゼや医療アートメイクのご相談の窓口に相談しながら、ご本人が何を望んでいるかを大切にしていきましょう。

製品ごとのご案内、ニップル(ニップルエピテーゼ)のご案内、病気や治療に伴う脱毛の医療アートメイクのご案内をご覧ください。

乳がんを経験した身体と、これからどう付き合っていけばよいですか?

乳がんの経験は、治療を終えたらすべて過去のことになるわけではありません。検査のたびに緊張したり、ふとした瞬間に病気のことを思い出したりすることもあるでしょう。一方で、日常生活の中に少しずつ楽しみを取り戻す方もいます。どちらの気持ちも、ご自身の大切な一部です。

毎日明るく過ごす必要はありません。不安な日があっても、穏やかに過ごせる日があってもよいのです。医療者や家族、患者会など、必要なときに相談できる場所を持ちながら、これからの暮らしを考えていきましょう。

ご家族は、どのように声をかければよいですか?

ご家族は、治療が終わるとほっとして、「もう大丈夫だね」と声をかけたくなるかもしれません。でも、ご本人が抱える不安は、周囲が思うほど早く消えないこともあります。

「まだ心配なの?」と尋ねるより、「気になることがあったら話してね」と伝えてみてはいかがでしょうか。病気の話をしたくない日もあります。無理に聞き出さず、一緒に食事をしたり、いつものように話したりする時間が支えになることもあります。

大切なのは、病気の経験だけではなく、その人らしい日常を尊重することです。

よくあるご質問

治療から何年たっても、再発の心配をしてしまいます。おかしいでしょうか?

治療後に不安を感じることは珍しくありません。生活に支障が出るほど強い場合は、医療機関やがん相談支援センターに相談してください。

乳がんの定期検査は、何年続きますか?

病状や治療内容によって異なります。5年を過ぎても経過観察が続く場合がありますので、主治医が立てた計画に沿って受けましょう。

治療から年月がたっていても、乳房の見た目について相談できますか?

はい。乳房エピテーゼや補整下着などについて、今の身体や生活に合わせた選択肢を相談できます。

アポロからのメッセージ

看護師の鵜澤美保が、乳房エピテーゼのご相談と製作に携わっています。認定NPO法人 乳房健康研究会のピンクリボンアドバイザー上級の認定を受け、乳がんに関する知識を学んでいます。がんの診断や再発に関わる医学的な判断は、担当医が行います。私たちは、乳がんの手術の後の外見についての不安やお悩みを伺い、ご本人の希望に合う方法を一緒に考えます。ご相談から製作・お渡しまでの流れをご覧ください。

参考にした情報

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